世界各国における著作権の保護期間
世界各国の著作権保護期間の一覧も参照。
世界各国における著作権の保護期間、および保護期間延長に関連する法改正の動向について概説する。なお、2007年1月現在の世界最長はメキシコの「100年」であり、以下コートジボワール(99年)、コロンビア(80年)、ホンジュラス・グアテマラ・セントビンセントおよびグレナディーン諸島・サモア(各75年)と続く。
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[編集] 欧州
1993年の欧州連合域内における著作権保護期間の調和に関する指令により義務付けられていることから、著作者の死後70年としている国が多数を占める。その背景には、20世紀半ばにドイツでクラシック作曲家の子孫たち(その多くは、作曲家ではない)が延長運動を行った結果、1965年よりドイツにおいて死後70年が採用され、EU指令においてもドイツの保護期間が基準とされたことが大きいといわれる。その一方、EUでは著作隣接権を公表後50年から延長することについては2004年に断念している。[1]
[編集] スペイン
著作者の生存期間および死後70年までを保護期間の原則とする。1879年に保護期間を死後80年までと規定したが、1987年に死後60年に短縮し、1993年のEU指令に基づき1995年に死後70年に再延長した。1987年における保護期間短縮は、ベルヌ条約加盟国では唯一の事例であるとされる。なお、保護期間短縮にともなう経過措置では改正法施行時に生存している著作者が既に公表している著作物には短縮された保護期間が適用される一方、既に故人である著作者については経過措置として旧法における死後80年間の規定が維持されている。そのため、パブロ・ピカソ(1973年没)の保護期間は死後80年の2053年までである一方、サルバドール・ダリ(1989年没)の保護期間は死後70年の2059年までである。
[編集] ポルトガル
著作者の生存期間および死後70年までを保護期間の原則とする。1948年のベルヌ条約ブラッセル改正に伴う調査では保護期間を「無期限」と定めていたことが知られているが、この規定は1971年のパリ改正までに撤回されている。
[編集] アメリカ合衆国
著作者の生存期間および死後70年までを保護期間の原則とする(17 U.S.C. § 302(a))。無名著作物、変名著作物または職務著作物の場合、最初の発行年から95年間、または創作年から120年間のいずれか短い期間だけ存続する(17 U.S.C. § 302(c)前段)。ただし、この期間内に無名著作物または変名著作物の著作者が記録から明らかとなった場合は、保護期間は原則どおり著作者の死後70年までとなる(同後段)。
[編集] 著作権延長法
詳細は著作権延長法を参照
1976年著作権法(Copyright Act of 1976)の規定では、著作権の保護期間は著作者の死後50年まで(最初の発行年から75年まで)とされていた。これを20年延長し、現在の保護期間である死後70年まで(最初の発行年から95年まで)とした改正法が、1998年に成立した「ソニー・ボノ著作権保護期間延長法」(Sonny Bono Copyright Term Extension Act, CTEA)である。「ソニー・ボノ」の名称は、カリフォルニア州選出の共和党下院議員で、この法案の成立に中心的役割を果たしたソニー・ボノ(Sonny Bono)にちなむ。
1999年1月11日、元プログラマーであるエリック・エルドレッド(en:Eric Eldred)は、CTEAがアメリカ合衆国憲法1条8節8項(特許、著作権)及び修正1条(表現の自由)に違反するとして、コロンビア特別区連邦地方裁判所に提訴した(エルドレッド-アシュクロフト訴訟(en:Eldred v. Ashcroft))。しかし、2003年1月15日、合衆国最高裁判所は、CTEAが合憲であるとの最終判断を示した(Eric Eldred, et al. v. John D. Ashcroft, Attorney General, 123 S. Ct. 769 (2003))。
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[編集] 日本
著作者の生存期間および死後50年までを保護期間の原則とする(著作権法51条2項)。無名または周知ではない変名の著作物、および団体名義の著作物の著作権は、公表後50年まで保護される(著作権法52条1項、53条1項)。また、映画の著作物の著作権は、公表後70年まで保護される(著作権法54条1項)。
[編集] 法改正の動向
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日本では、2004年1月1日、映画の著作物の著作権の保護期間を公表後50年から70年に延長する改正著作権法が施行されたが、映画以外の著作物の保護期間は、1970年の著作権法全面改正で死後38年から50年に延長されて以来、2006年現在に至るまで変更されていない。
1990年代、欧州連合諸国およびアメリカ合衆国で、著作権の保護期間を著作者の死後70年に延長する法改正が相次いだ。また、アメリカ合衆国政府は、「日米規制改革および競争政策イニシアティブに基づく日本国政府への米国政府要望書」[2]の中で、著作権の保護期間を著作者の死後70年(著作者の死亡時に関係しない保護期間は公表後95年)に延長することを日本政府に対して求めている。こうした状況を受けて、日本国内でも、著作権の保護期間の延長問題に対する関心が高まってきている。
2005年1月24日、文部科学省の諮問機関である文化審議会著作権分科会は、『著作権法に関する今後の検討課題』を公表し、「欧米諸国において著作者の権利の保護期間が著作者の死後70年までとされている世界的趨勢等を踏まえて、著作者の権利を著作者の死後50年から70年に延長すること等に関して検討する」[3]として、著作物の保護期間の延長が同審議会における検討課題の一つであることを正式に表明した。
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2006年9月22日、日本文藝家協会副理事長の三田誠広を議長とする「著作権問題を考える創作者団体協議会」は、著作権の保護期間を著作者の死後70年までに延長する法律改正を求める声明を発表した[4]。同協議会は、日本文藝家協会、日本音楽著作権協会(JASRAC)、日本芸能実演家団体協議会(芸団協)、日本レコード協会などの16団体(発足時)から構成されている。
2006年11月8日、劇作家、法律家、学者など64名(発足時)を発起人として、「著作権保護期間の延長問題を考えるフォーラム」(発足時の名称は「著作権保護期間の延長問題を考える国民会議」)が発足し、国民的な議論をつくさないまま保護期間を延長すべきでないとする声明を発表した。また、青空文庫は、2007年1月1日より保護期間延長に反対する趣旨の請願署名を開始している。[5]
[編集] 日本国における著作権の保護期間
日本国はベルヌ条約、万国著作権条約、WIPO著作権条約の締約国である。また、TRIPS協定を遵守すべきWTO加盟国でもある。したがって、これらの条約、協定で定められた保護期間の要件をすべて満たすように、国内法で著作権の保護期間を規定している。
[編集] 著作権の発生(始期)
著作権は、著作物を創作した時に発生する(著作権法51条1項)。登録を権利の発生要件とする特許権や商標権などとは異なり、著作権の発生のためには、いかなる方式(登録手続き等)も要しない(著作権法17条2項)。ベルヌ条約の無方式主義の原則(同条約5条(2))を適用したものである。
著作権の消滅(終期)
[編集] 終期の原則
著作権は、著作者が死亡してから50年を経過するまでの間、存続する(著作権法51条2項)。ベルヌ条約7条(1)に対応する規定である。
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共同著作物の場合
共同著作物の場合は、最後に死亡した著作者の死亡時から起算する(同項かっこ書)。これは、最後に死亡した著作者が、日本の著作権法6条に基づく権利の享有が認められない者(条約非加盟国の国民など)であっても同様であると解する[6]。
また、自然人と団体の共同著作物の場合、本項を適用して自然人である著作者の死亡時から起算するのか、後述する53条1項を適用して公表時から起算するのかが問題となる。この場合、自然人である著作者の死亡時から起算するのが妥当であると解する。保護期間の長い方による方が著作権保護の趣旨に合致するし、公表時起算は死亡時起算が適用できない場合の例外的規定だからである[7]。
保護期間の沿革
一般的な著作物(写真や映画の著作物を除く)の原則的な保護期間は、1899年7月15日に施行された旧著作権法では、著作者の死後30年までと規定されていた。その後は、以下のような変遷をたどっている。
1962年4月5日 死後33年に延長(昭和37年法律第74号、第1次暫定延長措置)
1965年5月18日 死後35年に延長(昭和40年法律第67号、第2次暫定延長措置)
1967年7月27日 死後37年に延長(昭和42年法律第87号、第3次暫定延長措置)
1969年12月8日 死後38年に延長(昭和44年法律第82号、第4次暫定延長措置)
1971年1月1日 死後50年に延長(著作権法全面改正)
そのため、過去に創作された著作物の著作権の保護期間は、著作者の死後50年とならないことがある。たとえば、芥川龍之介、梶井基次郎、島崎藤村[8]の作品の著作権の保護期間は以下のとおりとなる。
芥川龍之介(1927年7月24日没)の作品の著作権は、1963年1月1日の第1次暫定延長措置が適用されることなく、1957年12月31日(死後30年)をもって消滅した。
梶井基次郎(1932年3月24日没)の作品の著作権は、第1次〜第4次暫定延長措置が適用されたが、1971年1月1日の改正法の適用を受けることなく、1970年12月31日(死後38年)をもって消滅した。
島崎藤村(1943年8月22日没)の作品の著作権は、第1次〜第4次暫定延長措置および1971年の改正法が適用されたため、1993年12月31日(死後50年)をもって消滅した。